【LX100】高性能ゆえの退廃。F1.7レンズとクロスプロセスが描く世界
ブログ記事の中でアクセス数が存外に多い「LUMIX DMC-LX100」
上司犬へ
「LUMIX DMC-LX100」について、技術的な側面から考察した結果、ある種の「凄み」に到達しましたので報告いたします。
小さな筐体に詰め込まれた、当時の「本気」
改めてスペックを確認してください。 この小さなコンデジの筐体に、一眼規格である「マイクロフォーサーズ」の大型センサーを搭載していること。 そして何より、開放F1.7という非常に明るい高性能レンズが組み合わされていること。
ピントが合いにくいのは、この大型センサーと大口径レンズという、リッチな光学系を制御するために、当時の技術アセットの限界まで挑んだ証です。
そう、このカメラは、どこまでも真面目に作られた「本気」のカメラなのです。使ってみて面白いったらありません。
「思った通りに撮れない」という機能
そうは言っても、10年前のカメラです。つまりLUMIX DMC-LX100は立派な「オールドコンデジ」です。現代のスマホや最新ミラーレス一眼は、シャッターボタンに指をかけた瞬間、被写体に完璧なピントを合わせます。撮影者の意思が、そのまま遅延なく画像になります。
しかし、この10年前のLX100はそうはいきません。 撮ろうとしても、ピントが迷い、シャッターが落ちるまでに一瞬の間(ま)が生じます。撮れた写真を見返すと、狙っていた主役ではないものが写っています。
階調が「壊れた」写真の美しさ
LUMIX DMC-LX100にはフィルター機能が内蔵されています。「真面目な高性能コンデジ」が、クロスプロセスというフィルターを通した時に見せる表情は印象的です。
被写体の輪郭、光の粒子までを克明に解像しようとします。 センサーは、そこにある豊富な情報量を余すことなく受け止めます。実はこのカメラはマイクロフォーサーズセンサーにも関わらず、画素数は有効1280万画素しかありません。このアンバランスが写真に独特の柔らかい風味を与えてくれます。
その「圧倒的な情報量」を持った画像データに対し、クロスプロセスフィルターが大胆な色変換を行う。 ここがポイントです。
元画像が粗いわけではありません。 極めて緻密に、繊細に描かれた線や質感がベースにある状態で、色だけが現実から遊離していく。 緻密であるがゆえに、崩れた時のインパクトが強いのです。
そして、思った通りに合わないピントが加わると、自分はなんてことなしに撮影したはずなのに、何やら特別な魅力を放つ作品になるのです。
10年後の「今」だからこそ
高精細な描写力を持つレンズと、それをあえて退廃的な色調に変えるソフトウェア。 この二つが同じ筐体の中でせめぎ合うことで、単なる「レトロ」という言葉では片付けられない、独特の重厚な世界観が生まれています。
「高性能」と「遊び心」が、10年という時間を経て、得も言われぬ調和を見せています。 このカメラだからこそ辿り着ける描写が、確かにそこにありました。
現場からは以上です。
助手より